鍼灸治療について
●鍼の種類は・・・
一般に鍼治療で使われる針は髪の毛(0.1mm程度)とほぼ変わらないくらいの針を使用しております。注射針(皮下注射:約0.5mm程度、採血用:0.7mm)程太くて、中は管状ではありません。当治療室では患者様の体格・部位・症状等を考慮し、細い針(0.12mm)から太い針(0.25mm)を選定して施術していきます。刺入するときに過敏な方は、少し“チクッ”と感じることがあります。また刺入していく中で、“ズーン”と重い感じになることがあります。これは痛みとは異なり、「特気」という鍼灸治療の現象です。ご心配なさらないでください。
●灸の種類は・・・
灸には大まかに「直接灸」と「間接灸」に分かれ、身体に直接据えるのか、身体と艾の間に何かをいれて灸を据えるのかに分かれます。直接灸は“勺焼灸”と“知熱灸”に分かれます。
☆直接灸には
“勺焼灸”は糸状大〜米粒大の艾を完全燃焼させる前に術者が消す方法です。“知熱灸”はやや大きめ(小指先大ほどの大きさ)の円錐状の艾に添加し、患者が熱いと感じたら術者が艾を取る方法です。
直接灸は上質な艾を使用し、施術の効果も大きいですが、患者様の皮膚の状態・感受性により、やけどのリスクも変わってきます。
☆間接灸には
“生姜灸”“ニンニク灸”は艾と身体の間に生姜やニンニク等を入れた状態で艾に点火します。この場合艾は完全に燃焼させる方法です。
“円筒灸”“台座灸”は艾と身体の間に円筒や台座をおくことで、艾が直接身体に触れること無く灸を据える方法です。市販のお灸をイメージするとよいでしょう。
間接灸に使用する艾は、直接灸で使用する艾よりも粗悪で燃焼の温度も高くなるため、間になにかを入れることにより、ちょうどいい温度で効果が得られます。
また他の灸の種類には「灸頭鍼」という方法もあり、針が身体に刺さっている状態で、その針の針柄(針先と反対で術者が持つところ)に、艾をつけて点火します。点火された艾は燃焼され「輻射熱」という熱の伝わり方とで身体を温めます。鍼と灸の刺激を同時に身体に伝えることができる方法です。
灸は熱が身体の芯(内部)に入っていくため、代謝の弱まった方や冷え性の方に効果的です。
灸に関しての注意は、効きそうだからと言う理由で熱さを我慢なさる方がいらっしゃいます。患者様の個人差によりますが、特に「間接灸」による持続的な暖かさには低温やけどの恐れ、また“灸あたり”という症状が出現する恐れがあるため、あまり熱に我慢せずにお申し出ください。
●鍼治療を行った日は・・・
鍼治療を実施すると、刺した箇所の筋肉が緩み血管が拡張するため血液の流れが良くなり、身体全体においては自律神経である副交感神経が優位になるため、自然治癒力が高まります。すなわち自分自身の身体が症状を良くしようとする方向に向かっている状態です。
できればゆっくりと過ごされ、養生に努められることがおススメです。
●治療後の入浴は・・・
特に問題ないと言われています。ですが、施術直後の身体には治療による反応が起きている状態であるため、さらに助長してしまうため身体に対する負担が大きくなってしまうことがあります。
入浴前に少し時間(1時間以上。血圧等に不安のある方はより長め)をおいて、入浴時間はいつもよりも短めにしてお休みになされることが、より治療効果を高めます。特に初めて治療をなされる方はご注意ください。
●施術後の飲酒は・・・
飲酒に関しては控えた方がよろしいと考えます。どうしても我慢のできない方は350mlの缶ビールを1本程度にしてください。多量の飲酒は血液の循環を高めてしまい、身体への負担を高めると考えます。
入浴の項でも記述いたしましたが、施術日当日は私の経験上、お酒も美味しく飲めると存じますが、お身体を休ませていただけると施術の効果も高まるでしょう。
●間隔はどのくらいが良いですか・・・
患者様から一番多い質問ではあります。急性期に発祥した痛みや症状が強い場合は間隔を詰めて、慢性的な痛みや症状は施術効果が持続している状態の間に来室していただけるのが、一番よろしいかと思います。
身体には利き手や利き足があるように、力の出しやすい方向や向きやすい方向、見やすい目や人との会話での立ち位置等、感覚や姿勢などを中心として、自分のパフォーマンスを発揮できる状態があります。
しかしその状態はハード的なものなどいろいろな影響により、ある意味でくせとして、自分のやりやすい方向に身体が順応してきます。そしてその負担が蓄積し、信号として症状に現れるのです。
間隔が空きすぎると症状は良い状態に向かわずに、施術後は疲れや主症状が取れても、回復まではいたりません。前回の施術時と同じ状態になる前に、来室いただけることをおススメいたします。
●施術後の注意点
施術後にかゆくなったり、痛みが増したり、余計に疲れが感じられたり、身体がだるくなってしまう等、いろいろな反応が出る方がいらっしゃいます。
鍼灸治療は身体の自然治癒力に働きかけるため、症状を回復するために代謝が盛んになる好転反応として上記の事柄が起こる場合があります。
正常な反応として「瞑眩(めんげん)」という言葉で表されます。あんま治療でも同様な症状が「揉み返し」という言葉で表されます。個人差により、自律神経のバランスの乱れが大きい方、普段の運動活動量が少ない方がなりやすいです。
また皮膚に青あざができる場合がありますが、これは皮下の静脈からの内出血で問題はありません。2週間程度で消失いたします。(特にワーファリン等の血液をさらさらにする薬を服用されている方は、内出血になりやすく消えにくいです。)
特に女性の方や目に映りやすい箇所の場合に症状がある方はご確認ください。鍼灸治療は身体の自然治癒力に働きかけ、治癒に向けて促進することが目的です。身体を休めることに努めてください。