鍼灸治療とは

体の表面から人体という小宇宙にアクセスする療法の一つが鍼灸である

皮膚に鍼を刺したり、灸による温熱刺激を与えることで、生体機能の変調を整え、症状や病を癒す伝統的な医学であり、東洋医学の分野では漢方療法(湯液)と双璧をなすものである。鍼灸治療は人類の歴史の中で最も古い療法の一つとしてあげられる。

それはおそらく痛む箇所を思わず手を当てたり、揉んだりと、刺激としているうちに、自然と痛みが治まったという自然発生的なものが積み重なって出来あがったものではないかと考えられている。

また道具として石器時代にはすでにへん石と呼ばれる石鍼が使用されていた。灸のような火で焼くような治療法も、火を使い始めた直後から存在していたのではないか?と思われる。

鍼灸理論の基本は古典として名高い「黄帝内経」の中に集約されることになる。同書は「素問」「霊枢」の2部から成り立っている。

「霊枢」こそ「黄帝鍼経」という別名が示すように、鍼灸の根本文献であった。この書と3世紀に著された「鍼灸甲乙系」が基礎となって今日の鍼灸治療に継承されている。

中国で誕生した鍼灸が日本に伝わったのは6世紀で、民衆に広まったのは江戸時代中期になってからであり、“鍼・焼處”と表されていた。しかし、明治政府が西洋医学以外の治療法を正式な医学として認めない方針を打ち出し、鍼灸治療はその後細々ながら受け継がれるという時代が続くことになる。

しかし、近年においては伝統医学としての鍼灸が改めて評価される傾向にある。西洋医学では治らなかった病気が鍼灸で治ったという実例もあり、副作用がなくやさしい医療であるという印象が多くの人々から指示されている。

そして現在、日本・中国・韓国などで臨床に活用され、欧米でも愛好者が多い。欧米も皮膚に刺激を与えて、病気・症状を治す伝統的な療法があるが、ツボを選んで刺激するという治療法がない。東洋医学独特の治療法である。

鍼灸は東洋医学の「病因を固定的、限定的にとらえるということはでなく、人体という小宇宙の全体からアプローチし、癒しに導いていく」という思想が基本である。また人間の生命活動である生・老・病・死を絶え間ない自然の循環の中に位置づけることとし、自然の一部としてあるとみなし、天地が生々流転する原理を人体に置き換えるという着想があった。

その根本原理こそが一般に「陰陽五行説」と呼ばれているものであり、鍼灸理論と実践は、この基本原理からすべて派生している。鍼灸治療は病変した臓器だけではなく、体の調和をはかって病気を治していく医療である。

古代から鍼灸に関する書籍はたくさん出版されていますが、今までに実際に鍼灸で行われている診断や治療はいろいろな方法で行われてきたことに対し、そのように治療すれば効果があるという方法が中心であって、なぜ鍼灸が効くのかというメカニズム的ものは少なかったですが、最近ではテレビ番組や漫画などで、東洋医学という枠組みの中で鍼灸が紹介されており、これからの鍼灸によるニーズがより高まると考えています。

まとめてみると、経穴・反応点に鍼灸治療を施し刺激を与える。末梢の感覚器や末梢神経が感じた刺激が経絡を通じて、臓器や組織に影響を与え、様々な反応を起こす。反応を起こした臓器や組織は、中枢神経である脳や自律神経・内分泌系へ影響を与える。そして鍼灸治療による効果を観察しながら、刺激量を変えたり、別なツボを刺激したりと、フィードバックすることにより、術者は鍼灸の刺激コントロールを行い、体調のバランスを平衡状態に整える治療法です。

またあまりツボに関与しない鍼灸としては、筋肉・神経にアプローチをかける方法もある。つまり解剖学を応用とした鍼灸であり、ある関節を動かすためには、この筋肉に鍼灸による刺激を施し、症状を改善するといった方法である。顔面神経麻痺や坐骨神経痛等の治療も、神経に対する鍼灸のアプローチの方法をして、現在の臨床に用いられています。

鍼灸治療には大まかに分けて3つの分類があります。

一つが経絡を基軸とした鍼灸の治療法。二つ目が中国医学を基にしている鍼灸治療。以上の二つが古典鍼灸や伝統鍼灸として呼ばれているものです。三つ目には現代鍼灸といわれている鍼灸治療です。それぞれ以下により説明いたしますが、それぞれが鍼灸の治療法として確立されているため、どの方法を用いても患者様にとって、改善の方向に向かうと思うのです。

しかし鍼灸と一言で記されていたとしても、どのような方法を用いるのかまでは、外からでは分かりません。よって、まず鍼灸の歴史についてご説明しながら、最も適した方法を見いだすことが重要と考えますし、みなさまにとっての最適な治療方法があると思います。

古典鍼灸とは近世までの東アジアの古典文献に見える鍼灸、あるいは近代以降に復興された伝統的外念に基づく鍼灸の総体を指す。<現代医学的鍼灸>との差別化が見られる。日本では経絡治療・現代中国において形成されたものを中医鍼灸があてられる。近年では「伝統鍼灸」の名称で使用される。現在の古典鍼灸とは、必要性とそれまでの経緯を前提に、古典文献の内容の一部を臨床化したものである。

経絡治療とは経絡を軸にした全身的な治療法を本治法、それ以外の治療を標治法と命名し、病体像としての十二経脈・六部上位脈診によって判定し、難経とその注解の選穴論に基づき、手足の五要穴を補瀉する。その浅刺の傾向は、日本固有のものというよりも、近代的な社会に対応した結果と見られる。なお経絡治療基本的に陰陽や五行といった観念と理論を重視する中国鍼灸の延長である。

中医鍼灸とは1949年中華人民共和国成立以降に形成された復興中国伝統鍼灸の総称。明清代ならびに中華民国時代の鍼灸を再編整序したものがあるが、近代日本の鍼灸の影響も見られる。日本には1960年代から影響が及び、1980年代以降深く浸透している。

現代鍼灸とはツボや経絡的なものの考えにとらわれずに、障害が起こっている筋肉や神経にアプローチすることにより症状を改善していく方法といえる。最近ではチーム医療として、鍼灸師を含めた医療従事者がお互い対等に連携することにより、患者中心とした医療を実現しようというものであり、大学病院をはじめとした医療施設に実施されている。鍼灸は補完代替医療の一つとして、アーユルヴェーダやホメオパシー等の様々な療法が含まれており、世界的に統合医療としてのニーズが高くなっている。

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